特別展 「下瀬信雄展 天地結界」

担当学芸員 矢追愛弓さんに本展覧会の見どころなどをお聞きしました

1.今回の展示について簡単にご紹介ください。

《時化が続いて久しぶりに漁があった ‐浜崎‐》
写真集『萩の日々』より
山口県立美術館蔵 © Shimose Nobuo

萩在住の写真家・下瀬信雄氏(1944-)の、50年を超える歩みを回顧する展覧会です。下瀬氏は萩で育ち、東京で写真を学んだあと、家業の写真館を継ぎました。以降現在まで、萩を拠点に、ふるさとの文化や風景、自然を独自の視点から撮影した写真を発表してきたのです。この展覧会では、学生時代の習作から、代表作たる「結界」シリーズにまで約200点におよぶ写真と、その写真が掲載されたカメラ雑誌などの資料を通して、下瀬信雄氏の創作活動の全貌をご紹介します。

2.矢追さんから見た展示のみどころを教えてください。

《クサソテツ ‐萩市黒川‐》
写真集『結界』より
作家蔵 © Shimose Nobuo

やはり一番は、写真家・下瀬信雄のライフワークである「結界」シリーズですね。このシリーズは写真集『結界』として2014年に出版され、翌年に第34回土門拳賞を受賞しました。4×5、8×10といったサイズの大判カメラを用いて、様々な身近な自然の姿、たとえばヒメジョオンやエノコログサといった、私たちが普段の生活の中で当たり前に目にしているような植物が写されています。しかしモノクロームの緻密なプリントで見るその姿は、これ以上近寄ってはいけない、触れてはいけない。そんな神聖な空気を漂わせています。

3.最後に一言、メッセージをお願いします。

《口羽家長屋門と少女 ‐堀内‐》
写真集『萩 HAGI』より
作家蔵 © Shimose Nobuo

この展覧会では、「結界」以外にも、下瀬氏が萩に帰郷して間もなく撮影を始めた萩の街を写した一連の写真や、主に萩を舞台に撮り続けたスナップショットによる「風の中の日々」シリーズ、日本各地で出会ったちょっと奇妙な風景を集めた「日本点景」シリーズなど、バリエーション豊かな下瀬氏の写真世界をたっぷりご覧いただけます。是非この機会に、地方を拠点として活動を続けてきた一人の写真家の生き様と、その写真の魅力に触れていただければと思います。

下瀬信雄展 天地結界

開催期間 2019年5月23日(木)~7月7日(日)
特設WEBサイト http://www.yma-shimose.com
山口県立美術館HP http://www.yma-web.jp/
休館日 5月27日、6月10日、17日、24日(いずれも月曜日)
※ファーストマンデーの6月3日(月)と7月1日(月)は、開館いたします。
観覧料 一般1,200(1,000)円/シニア・学生1,000(800)円

※18歳以下無料。
※キャンパスメンバーズ加盟校の方は無料。
※高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在籍の方等は無料。
※障害者手帳等をご持参の方とその介護の方1名は無料。

※シニアは70歳以上の方。
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。