特別展 「扇の国、日本」

担当学芸員 岡本麻美さんに本展覧会の見どころなどをお聞きしました

1.今回の展示について簡単にご紹介ください。

埼玉県指定有形文化財
海北友雪 《一の谷合戦図屏風》(右隻)
埼玉県立歴史と民俗の博物館

暑さをしのぐ他、舞や茶道、落語など、現代でも男女問わずしばしば手に取り、目にする機会がある「扇」。この折り畳める形式の「扇」が、日本オリジナルの発明品であることをご存知でしょうか。本展は、日本人が愛した扇をめぐる世界を、幅広い視点から紹介する展覧会です。扇そのものだけでなく、扇をテーマにした絵画(巻物、屛風、掛軸)、陶芸、装束など、多彩な作品およそ140点を通じて、扇をめぐる奥深い世界をご紹介します。

2.岡本さんから見た展示のみどころを教えてください。

呪力を秘めた宗教具であり、生活の道具であり、大量に流通した贈答品であり、ファッションアイテムであり、優れたデザインパターンでもあり…。いかに扇がマルチなアイテムで、日本の文化に深く根付いたものであるかを、再発見していだける点が、まずはみどころかと思います。また本邦初公開の作品や、日本最古の扇、狩野派から浮世絵師まで人気絵師が手掛けた扇など、貴重な作品も盛りだくさん。自分だったら、この一本がほしい、という楽しみ方もおすすめです。

重要文化財《彩絵檜扇》一握 平安時代 12世紀
島根・佐太神社(島根県立古代出雲歴史博物館寄託)

3.最後に一言、メッセージをお願いします。

《舞踊図》(六面のうち)
江戸時代・17世紀
サントリー美術館蔵

1000年以上も前に生み出された「扇」。それが現代の生活でも、文化財としてではなく、生きて使用されているのは、奇跡的なことではないでしょうか。扇には、日本人が求めてきた美のエッセンスが凝縮されているのです。

いつでもどこでも万人が手にした、もっとも身近な美術品。その魅力を、華やかな気持ちでお楽しみいただければと思います。「扇」をテーマにした総合的な展覧会は、全国でもおよそ30年ぶり。東京会場に続く山口会場、2館のみの開催です。どうぞお見逃しなく。

扇の国、日本

開催期間 2019年3月20日(水)~5月6日(月・祝)
扇展特設WEBサイト http://yma-ougi.com/
山口県立美術館HP http://www.yma-web.jp/
休館日 3月25日、4月8日、15日、22日(いずれも月曜日)
※ファーストマンデーの4月1日(月)と5月6日(月)は、開館いたします。
観覧料 一般1,300(1,100)円/シニア・学生1,100(900)円

※18歳以下無料。
※キャンパスメンバーズ加盟校の方は無料。
※高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在籍の方等は無料。
※障害者手帳等をご持参の方とその介護の方1名は無料。

※シニアは70歳以上の方。
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。